間違った歯磨きを続けた結果
投稿日:2023年4月12日
カテゴリ:院長ブログ
前回、過剰に力を入れたブラッシングを1日に何回も行うと、むしろ歯周病を招く危険があるということをお伝えしました。
間違った歯磨きは、「歯間乳頭」という組織も傷めてしまいます。歯間乳頭は、隣り合った歯と歯の間の根元付近に三角形に入り込んでいる歯肉で、歯をしっかり支え、細菌の侵入を防ぐ働きをしています。この歯間乳頭は組織が弱く炎症を起こして腫れやすいため、硬めの歯ブラシを使い強い力で歯茎を直接ブラッシングしたり、歯間ブラシを頻繁に使用していると、傷んでどんどん下に後退していきます。すると、歯と歯の隙間が広がって歯周病や虫歯になりやすくなってしまうのです。歯間乳頭は一度失うと再生させるのが難しいので、正しいケアが大切です。
最近もこんなケースがありました。「歯がグラグラしてきて飲食をするとしみる」と訴えて来院した60代の女性です。話を聞くと、口腔内の細菌を徹底除去すれば虫歯にはならないという考え方を信じ、30年間にわたって1日3回、1回30分から1時間かけてブラッシングを続けているとおっしゃいました。
口の中を診てみると、たしかに虫歯はできていません。しかし、歯茎が大きく後退して歯を支えきれない状態になっていて、全顎的に歯周病が進行していました。
結局、歯をすべて抜いてインプラント治療をすることになりました。間違った歯磨きを続けた結果、自分の歯を失うことになってしまったのです。
毎日毎食後、歯磨きをしっかりやって、むし歯や歯周病を防ぎたい!という気持ちはとても良いことです。歯科医としてそういう気持ちで取り組んでくれることは本当にうれしいです。しかし、正しいと信じていたブラッシング法によって、口腔内環境を悪くしてしまっていたら、そんな悲しいことはないですので、その時その時のお口の状況に合った正しい磨き方、適切な歯ブラシや歯間ブラシを小林歯科医院の歯科衛生士にどんどん聞いてもらえたらと思います。
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