糖尿病と歯周病の密接な関係(2)
投稿日:2023年5月9日
カテゴリ:院長ブログ
前回から、糖尿病と歯周病の相互関係についてお話しさせていただいています。
糖尿病と歯周病は密接に関係していて、糖尿病の人は歯周病になりやすいことが多くの研究で知られています。歯を失う原因として最も多いのは歯周病ですから、糖尿病の人は歯の喪失リスクも高いのです。糖尿病と歯周病が相互に影響を及ぼす要因になっているのが『TNF-α』という炎症性サイトカインで、糖尿病の人も歯周病の人も、同じようにTNF-αの血中濃度が高いことがわかっています。TNF-αは炎症が起こっているところで中心的に働く物質で、炎症の悪化や組織の障害に関わっています。ですから、糖尿病があれば歯周病に、歯周病では糖尿病になりやすくなったり、状態を悪化させることにつながります。
糖尿病で高血糖になると白血球の一種である好中球の機能が低下して、体内に入り込んだウイルスや細菌を排除する働きが悪化します。また、高血糖では毛細血管の血流が悪化するため、酸素や栄養を体の隅々まで十分に届けられなくなって細胞の働きが低下します。こうしたことから糖尿病の人は「易感染性」と呼ばれる感染症にかかりやすい状態になります。その結果、体のあちこちで炎症が起こり、TNF-αをはじめとした炎症性サイトカインが増えてしまうというわけです。
歯周病は、口腔内に生息する歯周病菌が原因で起こります。歯周病菌が歯と歯肉の隙間=歯周ポケットに蓄積して増殖すると、歯肉が炎症を起こして腫れたり出血しやすくなり、進行すると歯周ポケットが深くなって歯を支える歯槽骨が溶け、歯が抜けてしまうのです。歯周病菌は内毒素を放出するため、歯肉などの歯周組織や粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。そのため、TNF-αなどの炎症性サイトカインも増えるのです。
では、糖尿病で歯周病も抱えている場合、どのような治療が有効なのか?次回は具体策をお伝えしたいと思います。
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