「うがい」は歯周病予防になるのか?!
投稿日:2023年4月21日
カテゴリ:院長ブログ
前回、「うがい」には2つの種類があることをお伝えしました。ひとつは、喉を清潔にするための「ガラガラうがい」、もうひとつは、口腔内を洗浄するための「ブクブクうがい」です。こちらは、口に含んだ水を両側の頬を動かしてブクブクさせてから吐き出す方法です。
「ブクブクうがい」にも感染症の予防効果が期待できます。こちらのうがいは、口の中をきれいにする目的で行うもので、歯の表面や間に入り込んだ食べかす、口腔内に存在する歯周病菌などの細菌をある程度洗い流すことができます。
口腔内に歯周病菌が多い人は、ウイルス感染症にかかりやすくなることがわかっています。口の中に入ったウイルスは、細胞に侵入する際にまずウイルス受容体に吸着します。口腔内に発現するウイルス受容体は、通常ではタンパク質からできている粘膜で保護されていますが、歯周病菌はプロテアーゼというタンパク質を分解する酵素を産生し、保護している粘膜を破壊してしまいます。そのためウイルス受容体が露出し、感染しやすくなってしまうのです。
歯周病を予防するためには原因となる歯垢をしっかり取り除き、口の中の歯周病菌を減らすのが大切で、ブラッシングによる「歯磨き」が欠かせません。ただ、歯磨きができない状況でも、ブクブクうがいをするだけでも有効と言えます。
しっかりとしたブクブクうがいは、歯や歯茎の汚れを取り除いたり、細菌を減らして口腔内の環境を整え、虫歯や歯周病を予防する効果があります。5~6回ほど軽くブクブクするくらいでは不十分です。毎食後、5~10ミリリットルの水を口に含み、30~60秒間ほどかけて左頬・右頬・上唇・下唇ごとに10回程度ずつ、速く強くブクブクとしっかり音を立ててうがいしてから吐き出します。しっかりしたブクブクうがいは歯ブラシが届かない細部まで洗浄できますし、口腔内の細菌を減らせるので、歯磨きが不十分になりがちな高齢者にとっては肺炎予防にもなります。
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