骨粗しょう症には歯の治療で「顎骨壊死」のリスク(3)
投稿日:2023年5月13日
カテゴリ:院長ブログ
骨粗しょう症の治療薬のうち「ビホスホネート」という骨吸収抑制薬を長期服用されている方の歯科治療の際の注意点を2回に渡ってお伝えしてきました。(1)(2)
「ビスホスホネート」製剤を使用している方は、歯科治療(抜歯などの外科処置)が出来ないのか?
そうした場合リスクを考慮し、長期間「ビスホスホネート」を服用している方が抜歯などの外科的な歯科治療を行う場合は、一定の休薬期間を設けて治療するケースがあります。
当初は「3年以上服用している人は3カ月の休薬の後で処置を行う」とされていました。該当する患者さんには、まずは骨粗しょう症治療の担当医宛てに「外科的な歯科治療を行いたいので3カ月程度の休薬が可能かどうか」を手紙などで打診させていただき、「問題なし」との返答があったら休薬後に処置を行います。休薬が難しいケースでは、まずは口腔内の炎症をできるかぎり少なくするために歯石除去や殺菌などの処置を行ったうえで、治療の1時間前に抗生剤を服用してもらってから実施する手順でした。
最近では、さらに骨吸収抑制薬関連「顎骨壊死」の研究が進んだ結果、『4年以上の服用で少なくとも2カ月の休薬』に変更となり、現在は『低用量であれば休薬は必要ないのではないか』とされています。今年3月、米国口腔顎顔面外科学会による予防・診断・治療の指針の改定で、そう言及されたのです。これを受け、いまは休薬ができなかったケースと同じような手順で治療を行っています。
「ビスホスホネート」などの骨吸収抑制薬は骨粗しょう症に対して非常に有効な薬なので処方されている患者さんは多いです。歯科治療を受ける際はお薬手帳を持参したり、治療前に使っている薬を教えてください。自己判断での休薬は絶対にやめましょう。
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