歯周病の治療「組織再生誘導法」とは(2)
投稿日:2023年5月4日
カテゴリ:院長ブログ
前回は歯周病がどのように始まり、最後には歯が抜けてしまう疾患だというお話を致しました。歯がぐらぐらする、ということは歯を支える骨(歯槽骨)がいわば溶けてしまっているということになります。
それで、歯槽骨の一部が垂直に欠損している場合、歯槽骨を再生する「歯周組織再生療法」が検討されます。かつては、歯周ポケット部分の歯槽骨を削って平らにすることで歯周ポケットをなくす外科治療が行われていたが、近年は削らずに改善を促す再生療法が主流になりつつあります。
歯周病は歯周ポケットができている状態が問題で、深い歯周ポケットがあると悪化していきます。代表的な歯周病菌は酸素を嫌い、血液中の鉄分を栄養にしています。そのため、深い歯周ポケットの奥にどんどん入り込んで炎症を起こし、出血によってさらに活発になるのです。口腔内の歯周病菌をゼロにすることはできません。「歯周組織再生療法」は、溶けてしまった歯槽骨を再生することで歯周ポケットをなくし、歯周病をきちんとコントロールするための治療といえます。
「歯周組織再生療法」は、歯肉に炎症があったり歯根が汚染されているとうまくいきません。なので、歯周基本治療で歯肉の状態を改善することが先決です。
そのうえで、歯茎を切開して歯槽骨から歯茎を剥離(はくり)し、不良肉芽組織や歯根の表面に付着している歯石やバイオフィルムを取り除きます。それから、線維芽細胞の増殖因子を主成分とする『エムドゲイン©』や『リグロス©』といった薬剤を歯根に塗り、歯周組織の再生を促すのです。
では、歯槽骨の欠損が多い場合、また「歯周組織再生療法」の効果はどのように判定されるのか、つづく歯周病の治療「組織再生誘導法」とは(3)でご説明いたします!
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