新型コロナは「歯肉炎」にも関係している? (1)
投稿日:2023年5月6日
カテゴリ:院長ブログ
今月8日、新型コロナの感染症法上の位置づけについて、季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行することが発表される見込みですが、このウィルスに感染した場合、無症状の方でも様々な後遺症や思いがけない他の症状が出るなど、何らかの”爪痕”を残しているといいます。
昨年、新型コロナウイルスに感染したMさん(50歳・男性)は、39度前後の高熱が2日ほど続いたが、咳や息苦しさなどの呼吸器症状、喉痛、頭痛、胸痛といった他の症状は見られず、10日間の自宅療養となったそうです。
発症3日目には発熱も落ち着いてきて、もう大丈夫だろうと一息ついた頃に“異変”が起こりました。朝起きていつものように歯磨きをしているとき、歯茎に強い痛みを感じたそうです。さらに、普段と同じくらいの力加減でブラッシングしていたのに歯茎がただれ、吐き出した歯磨き剤は出血で赤く染まっている。口をゆすぐと歯茎がしみてズキズキとした痛みがしばらく続いたという。。
平熱に戻ってからも、歯磨きをするたびに歯茎の痛みと出血を繰り返し、いつもより弱めに恐る恐るブラッシングしてもそれほど改善は見られないため、歯周病も疑ったが、結局、1週間ほどで歯茎の痛みと出血は治まったとのこと。
コロナ感染と口腔内の“異常”は関係あるのか?
実は、海外では新型コロナと口腔疾患について報告された論文があります。それによると、新型コロナウイルス感染症では、歯周病変を含むさまざまな口腔内症状が現れる患者がいて、重度の口臭、浮腫と紅斑、歯間乳頭の壊死、歯肉の自然出血を呈する壊死性歯肉炎が認められると報告されています。また、口腔内病変の消失はウイルスの消失と並行して起こることから何らかの関連が示唆され、新型コロナウイルスと口腔内に発現するウイルス受容体のACE2との相互作用は、口腔上皮細胞の機能を変化させる可能性があり、潰瘍性歯肉病変の出現を説明するメカニズムのひとつと考えられるとしています。ただ、まだ症例報告数が少ないため、コロナ感染がこれらの口腔症状に直接関係しているのかははっきりせず、ほかのウイルスの複合感染、免疫の低下、治療に使う薬剤の副作用の可能性も指摘しています。
一過性と思われる症状だが、歯肉から出血している状態のとき、どのようなケアが適切なのか、続く「新型コロナは「歯肉炎」にも関係している? (2)」でお伝えしたいと思います。
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