骨粗しょう症には歯の治療で「顎骨壊死」のリスク(1)
投稿日:2023年5月11日
カテゴリ:院長ブログ
高齢になっても歯科治療やケアは欠かせないが、「骨粗しょう症」を抱えている人は注意する必要があります。
「骨粗しょう症」は、骨の量が減って強度が低下し骨折しやすくなる病気で、高齢化が進む日本では1000万人以上の患者がいるといわれています。転倒をはじめ、手や肘をつく、くしゃみや咳といったちょっとした衝撃で骨折してしまうケースもあります。背骨、手首、太ももの付け根の骨が折れやすく、骨折がきっかけで寝たきりになってしまう場合も少なくありません。
治療は薬物療法が中心で、骨密度を高めて骨折の危険を減らします。病状に応じて以下のような薬剤が使われています。
①骨吸収を抑制する薬(ビスホスホネート、抗RANKL<デノスマブ>、カルシトニン、SERMなど)
②骨の形成を促進する薬(ビタミンK2、副甲状腺ホルモン<テリパラチド>など)
③骨代謝を調節する薬(カルシウム、活性型ビタミンD3など)
この中で、①骨吸収抑制薬の「ビスホスホネート」を長く服用している人は、歯科治療を受ける際に注意が必要です。
2003年、骨吸収抑制薬のビホスホネートを服用している患者さんが抜歯などの外科的な歯科治療を受けた後、まれに「顎骨壊死(がっこつえし)」を発症するケースが報告されました。顎の細胞や組織が死んで骨が腐った状態になり、口腔内細菌の感染によって顎の痛み、腫れ、化膿といった症状が現れます。進行して悪化すると、壊死が広がって顎の骨が折れたり、皮膚の表面に穴が開いて膿が漏出するケースもあります。
ビスホスホネートの長期服用がなぜ顎骨壊死を起こすのか、次回またお伝えいたします。
■ 他の記事を読む■