舌の汚れ「舌苔」除去で新たなコロナ対策
投稿日:2023年4月7日
カテゴリ:院長ブログ
新型コロナウィルス感染症対策として政府が推奨してきた「手洗い、3密の回避、換気、マスクの着用」という基本的な指針にみんなで協力し取り組んできました。今年3月13日以降は、マスクの着用に関しては個人の判断に委ねるとの発表があり、徐々にマスクなしで散歩する人などを見かけるようになってきたように思います。
実は、新型コロナウィルスの変異株など猛威を振るっていた第4波突入という頃、別紙で「手洗い、3密の回避、換気、マスク~」という感染対策の他に「舌のケア」が注目されているという情報をお伝えしました。マスクの着用義務がなくなった今、感染者数が再び上昇する恐れもあります。舌のケアで感染症対策をしていきましょう。
まず、舌には「舌苔」と呼ばれる苔状の汚れが付着します。口腔内の粘膜の上皮が剥がれた"あか"や食べかすが、舌の表面に密集している舌乳頭という粘膜の突起の隙間に入り込んで蓄積したもので、そこで口腔内の細菌が繁殖します。そんな細菌の塊ともいえる舌苔によって、ウイルスに感染しやすくなるという報告があるのです。舌や喉といった口腔内に存在する受容体は、通常ならばタンパク質からできている粘膜によって保護されています。しかし、舌苔で繁殖した口腔内の細菌は、プロテアーゼというタンパク質を加水分解する酵素を産生し、保護している粘膜を破壊します。その結果、舌に多く発現している受容体が露出して、感染しやすくなってしまうというわけです。
新型コロナウイルスは細胞表面にある「ACE受容体」というレセプターに結合して細胞内に侵入します。このACE受容体は、気道、肺、腸管、腎臓などさまざまなところに発現しますが、海外の論文によると「口腔内の粘膜、とりわけ舌に多く発現している」との報告があります。そのため、感染予防策のひとつとして舌のケアが有効だと考えられています。
次回は、舌のケアの方法をお伝えします。
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